Feature

渡辺俊美×誰かと誰かのレコードジャケット S/PEAK

2nd.guest / ハナレグミ

RUDOが信頼を置くおしゃれなパイセン・渡辺俊美が、ゲストが影響を受けたレコードジャケットを軸にフリートーク!
今回の対談相手は映画などへの曲提供も活発な永積崇のソロプロジェクト・ハナレグミ。
50歳の誕生日を前日に控える中、渡辺俊美が携わる居酒屋「夜ノ森」にて行われた対談は、レゲエを代表する音楽の巨人であるボブ・マーリーへの愛に溢れる、濃厚なものとなった。
PHOTO:RIEI NAKAGAWARA

今月のレコードジャケット
Bob Marley and The Wailers
『Catch A Fire』

ボブ・マーリーの名声を決定付けた1973年リリースの世界的名盤。名曲『Concrete Jungle』、『Stir It Up』など全8曲を収録。もともとThe Wailers名義のため2,000枚だけリリースされたジャケットがある、リミックス前のジャマイカンver.が存在するなどエピソードにも事欠かない。

永積「(渡辺俊美世代の前は)ファッションの概念ってミュージシャンの中であんまりなかった気がする。」

永積「(渡辺俊美世代の前は)ファッションの概念ってミュージシャンの中であんまりなかった気がする。」

  • 渡辺(以下、W) 僕らの世代ってやっぱりアナログ盤を買って眺めてっていうのがあるんだけど、ジャケットへの思い入れというかエネルギーが詰まっているものを語りたいっていうのがある。それにジャケットって自分(アーティスト、バンド)だけのものじゃないし、いろいろな人が携わった上でこれにしようってなるじゃない。「何人でこれを決めてるのかな」って思うんだよね。本当にバンドの思いなのかとか考えたりすると、語れる要素が本当にいっぱいある。
  • 永積(以下、N) そうですよね。だから今日もなかなか一枚に絞り切れなくて。あと、全然関係ないけど実はこういうの持ってるんです。宝島から1991年に出たビデオなんですが、まだTOKYO No.1 SOUL SETにDJ DRAGONさんがいる頃で、俊美さんがオーバーオールでサングラスつけてガンガン踊ってる(笑)。あとでサインください。
  • W  すげーー(笑)! 1991年だから25歳の時かな。
  • N この頃って洋服屋さん(*セレクトショップ「セルロイド」。対談第一回参照)やってました?
  • W もうやってた。20歳くらいからかな。TOKYO No.1 SOUL SET(以下、TNSS)の音源出す前からキャップとか作って。SOUL Ⅱ SOULを真似して、グッズもあればもっと広まるんじゃないのって思って。
  • N そういうのって俊美さんくらいの時代に始まりましたよね。その前はファッションの概念ってミュージシャンの中であんまりなかった気がする。
  • W そうだね。俺が「こうなりたい!」て思っていたのは幸宏(高橋幸宏・YMOなど)さん。幸宏さんはブランドもやってミュージシャンもやってパルコに店出して「なにそれ、いいんじゃな〜い」と思ってさ(笑)。
  • N ハハハ(笑)!
  • W 音楽だけじゃなくて、ああいう生き方、やり方、方法論に完璧にどっぷり浸かってた。

    —— ここで俊美さんの誕生日ケーキが入場。

  • N お、え!? 明日バースデー!?

    全員でバースデーソング合唱

  • W こういうのあるんだね(笑)。もう50歳だよ。
  • N 全然見えないですけどね。ここは俊美さんがやっているお店なんですか?
    オススメはなんですか?
  • W なんでも美味しいけど、牛スジ煮込みは人気かなぁ。
  • N 肉食わないとエネルギー出ないですからね。
  • W やっぱ肉食わなきゃね、元気出ないよ(笑)。
渡辺「自分の解釈を独自にしてる人って、やっぱりズバ抜けてる。」

渡辺「自分の解釈を独自にしてる人って、やっぱりズバ抜けてる。」

  • N 一番最初に音と声とビジュアルとかすべて影響受けたというか、真ん中にあるのがこのジャケットのアルバム『Catch A Fire』なんです。その後のソウル、ラップで洗練された『EXODUS』とかスウィートなナンバーも好きなんですけど、エッジが効いてて攻撃的で、でもすごくお洒落で声もセクシーで。
  • W “レゲエ=ボブ・マーリー”ってイメージがあるかもしれないけど、俺的にはまったく違って、“ボブ・マーリー=ボブ・マーリー”なんだよね。説教するわけじゃないんだけど、ボブ・マーリーはジャンルじゃないんだよね。
  • N マイケル・ジャクソン、プリンスっていうジャンルがあるように。この人みたいな音楽って探しても結局ないんです。レゲエの中でもない。僕はボブ・マーリーとマイケルは自分の中のアイコンというか、音楽をいいなと思うようになった入口の風神雷神じゃないですけど、両サイドに立っているんですよ。「今お前、どういう夢を見てるの?」と常に問いかけられる。僕は音楽はしおりみたいだと思っていて、このアルバムかけて『Concrete Jungle』の不穏なギターを聴くと、一気に(買った当時に)タイムスリップするんです。慌ててギターを触りたくなる。鏡の前に立って、裏打ちしながら今でも聴いちゃいますね。
  • W セルジュ・ゲンズブールがスライ&ロビーをバックにしたことがあったんだけど、初めてBIKKE(ビッケ・TNSS)と会ったときに「日本にもゲンズブールがいるな」と思ったの。最初はリズムや韻とか関係なくレゲエをやってたけど、実際日本語でラップするようになったら「あ、ゲンズブールがきた!」と思った。日本で海外の音楽を聴いて自分たちなりに解釈して答えを出したというか。ボブ・マーリーもソウルからレゲエに行ったのは、最初はただリズムがそうだっただけなんだけど、ちゃんと自分の生まれたところでソウルを解釈してオリジナルになった。そこが凄いんだと思う。
  • N このアルバムと出会ったのは高校生2年くらいのときなんですが、当時はローリング・ストーンズもよく聴いていたんです。サイケアルバム『サタニック・マジェスティーズ』の中の『2000光年のかなたに』っていうブッ飛んだ曲が、「この曲ばっかりやってくれ!」っていうくらいとにかく好きで。当時を思い出してどっちのレコードにするか迷ったんですが、やっぱり歌詞とかビートとかスタイリッシュさとかで影響受けたのを考えると、やっぱりこの一枚。ジョン・レノンが「すべてがレゲエに入ってる」と言ったように、歌ってみるとすごく自由度が高くて。音楽が持っている力が自由というか、この上で「全部自由でやりなよ」って言われている気になるというか。
  • W しかも、長ったらしく聴こえないんだよね。シンプルで要点がはっきりしてる。ボブ・マーリーやレゲエに影響受けて曲作ったことある?
  • N あるけど、いつもたどりつけません。すごく小さいものになって、ただの真似になってしまう。裏打ちも出来ないし、やってもダサくなるし。彼らの混沌としてて必死な意気込みは好きなのに、それを打ち出すことはできなくて。でも、今はハナレグミになって、ちょっと裏打ちみたいなのも取り入れて「開放感だけちょうだい」というくらいにはなった(笑)。この時代の人たちって老成しいて、短い時間にいろんなものを達観したというか、曲の中にものすごく生き様を感じるんですよ。僕も今くらいの年代になってきて、少し染み出したのかも(笑)。(自分の中で)自由になってきてることって多くないですか?
  • W 昨日もロカビリーみたいなパーティーだったんだけど、そこで吉幾三の曲をやると、リーゼントの人も鋲ジャンの人も泣いたりしてる。『出逢いの歌』(*対談第一回参照)とかで。それに同じストロークだと自分でも飽きちゃうから、最近は3番目くらいに裏打ちを入れたりしてさ。だから、確かに表現の仕方は自由になってきているなと思うよね。吉幾三は絶対に裏打ち入れたりしないと思うんだよな(笑)。
  • N 『Catch A Fire』のデラックスエディション知ってます? あのオーバーダビングしてるバージョンもすごいですよね。
  • W すごいすごい。
  • N アイランドの社長の「もっと欧米人向けにアメリカ風のスライドを入れよう」っていう判断とか素晴らしいと思う。
  • W ツェッペリンとかクラプトンも、ボブ・マーリー聴いて一時期感化されるじゃない。でも、あまりうまくいかなった。ツェッペリンファンからは『D'yer Mak'er』って評判悪くて(笑)。だけど、ジョン・ボーナムのレゲエの解釈ってやっぱり凄い。レディー・ガガも同じ曲をピアノでカバーしてるんだけど超格好良い。自分の解釈を独自にしてる人って、やっぱりズバ抜けてる。

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PROFILE

渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET、ZOOT16、猪苗代湖ズ)
TOSHIMI WATANABE
1966年12月6日・福島県出身

1990年に「TOKYO No.1 SOUL SET」を結成。ソロ活動や他アーティストとのコラボ、楽曲提供も盛んで、福島県出身ミュージシャンなどと結成した「猪苗代湖ズ」でも活躍。メンズブランド「WHATEVER WORKS」のディレクションも務めるなどファッション感度の高さにも定評がある。映画初主演となる『パパのお弁当は世界一』が2017年中に公開予定。
watanabetoshimi.com


今月の客人

ハナレグミ
HANAREGUMI
1974年11月27日・東京都出身

元SUPER BUTTER DOGのフロントマン・永積 崇によるソロプロジェクトとして2002年に始動。心の琴線に触れる独特の歌声と楽曲が幅広いロックファンから支持される。是枝裕和監督映画『海よりもまだ深く』主題歌として書き下ろした7年ぶりのシングル『深呼吸/別れの予感』が、CD、アナログ盤7インチで絶賛発売中。2017年3月より全国ライブハウスツアーを遂行予定。
www.hanaregumi.jp

supported by NIXON
https://www.nixontokyojapan.com/


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