Feature

渡辺俊美×誰かと誰かのレコードジャケット S/PEAK

9th.guest / 幹田卓司

毎号異なるゲストが持参したレコードジャケットをテーマに、ミュージシャン・渡辺俊美が対談する企画もついに第10回の大台(?)に突入。記念すべき相手は、芸術的なスタッズアクセサリーを作り出す男・幹田卓司(WOLF'S HEAD)。旧知の友ながらしっかり話す機会は今回が初となるアラフィフ同士のトークは、幹田氏が持参した懐かしのアイテムの登場で、スタートと同時に盛り上がる結果に。

今月のレコードジャケット
RCサクセション『BEAT POPS』

故・忌野清志郎が率いた“KING OF ROCK”バンドが1982年に発表した8枚目のアルバム。名曲『つ・き・あ・い・た・い』を筆頭に、ファニーなタイトルとジャケットに似合わない(?)暗くて実験的な10曲を収録。ちなみに同年には清志郎は坂本龍一と組んで『い・け・な・いルージュマジック』を発表していた。

渡辺「日本のロックとかパンクロック含めて、ちゃんと優しさを入れた先駆者はRCだよね」

渡辺「日本のロックとかパンクロック含めて、ちゃんと優しさを入れた先駆者はRCだよね」

  • 幹田(以下M) 中1の時に初めて友達の家のラジオで『つ・き・あ・い・た・い』を聴いて、バーン!ってきたんですよ。最後に曲名を紹介する時に、友達に「静かにしろ!」って言ってメモして(笑)。それでレコードレンタルに行ったのがきっかけですね。ビートルズとかエルビス(・プレスリー)とかはもちろん聴いてましたけど、日本人で初めてバーン!って入ってきたのはRCサクセションなんですよ。でも、実はいまだにこのCDもレコードも持ってないんですよ。なので今日は当時ダビングしたカセットテープを持ってきました(笑)。RCだけでもいっぱいあるんですよ、カセットテープ。まだまだ全然聴けますからね。
  • 渡辺(以下W) そう! 意外と音が良いんだよね。
  • M CDよりも、逆にカセットテープの方が味のあるいい音がするし、わざわざ買わなくてもっていう。
  • W その辺のダンボールで100円で売ってたら買うかもみたいな(笑)。
  • M そうですね、本当そうです(笑)。だからこっち(カセットテープ)の方が自分の中でリアルなので。ジャケは、完全に頭の中にはあるんですよ。でも、歌詞カードとか題名とか曲名はまったく興味無いんですよ(笑)。
  • W 当時は80年代初頭だよね。みんなでRC聴いて盛り上がって、みたいな感じだった?
  • M いや、全然。僕も聴いていましたが周りは先輩から教えてもらったキャロルとか、チェッカーズとか流行ってるやつを聴いてました。80年代って時代的にそうですよね。だから僕がRC好きだって言っても周りに聴いてるヤツは一人もいなかったです。一人でレンタルレコード屋に行って借りて。で、安いテープ買って(笑)。
  • W 不思議と、チェッカーズから入る人って、ロックンロールに行かない人いっぱいいたからね。急に音楽好きになった人は、直系のめんたいロック行っちゃって。だから、なかなかロカビリーが続かないというかね。
  • M でもチェッカーズは憧れてましたよ。それこそスタイルだったら、チェッカーズの方が真似しやすい。清志郎さんは真似出来ないって最初から思いましたもんね。
  • W RCのどこに惹かれたの?。
  • M やっぱり、この変態感ですかね(笑)。この人達楽しいんだろうなぁって思って。
  • W 俺、いつも思うんだけど、RCってまっすぐなのほとんど無いんだよね。全部こういう風にちょっとひねくれてるっていうか、ズラしてる感じ。『サマーツアー』とかもそうだけど、当時の新しいものがすべて詰まってるよね。ストーンズやビートルズを真似るコスプレが終わって、新しいものを出すっていうエネルギーが半端なくあるんだよね。
  • M そうですよね。こんな化粧してド派手な格好してるのに、唄っていることはギャップがあって、飛んでる曲もある。やっぱり、RCには思い入れがありますね。
  • W RCって、洋楽を聴く感じなの。ライブ盤が特に好きなんだけどね。西城秀樹のライブ盤や、和田アキ子のソウルをカバーした盤がある中、RCのライブ盤がかなり衝撃的だった。こういう風に洋楽と同じレベルでやってるバンドっていうのがRCなんだって、中学校の時に凄く思ったの。
  • M それは70年代ってことですよね? 僕がまだベストテンとか観てたくらいかな。
  • W 俺もベストテンは観てたよ。
  • M 出てましたもんね、坂本龍一と『い・け・な・いルージュマジック』で。あれも衝撃的だったんですよ。
  • W 化粧して、しかも女装とかじゃなくて、男らしいというか、ヤラれた感はあるよね。でもちゃんと狂気じゃなくて優しさがある。
  • M そうですよね。そこが清志郎の何とも言えないカッコイイところなんですよね。
  • W ブルーハーツも同じなんだけど、やっぱり日本のロックとかパンクロック含めて、ちゃんと優しさを入れた先駆者はRCだよね。だから共感できるというか、伝わるというか。突き放してないんだよね。
  • M だから本当に当時は、“もうRCだけで良いや!”ってなっちゃって。RC出る度にレンタルで借りて、全部ダビングしたんです。

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PROFILE

渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET、ZOOT16、猪苗代湖ズ)
TOSHIMI WATANABE
1966年12月6日・福島県出身

1990年に「TOKYO No.1 SOUL SET」を結成。福島県出身ミュージシャンなどと結成した「猪苗代湖ズ」でも活躍。メンズブランド「WHATEVER WORKS」のディレクションも務める。自身のソロプロジェクト「ZOOT16」の公式サイトではオリジナルTシャツなどのグッズを不定期で発表。即完なのでこまめにチェック。
watanabetoshimi.com
www.zoot16.com


今月の客人

幹田卓司 TAKUJI MIKITA 1969年12月14日・東京都出身

1991年に幹田氏が自身の趣味であるバイクライフから想起したヴィンテージショップをオープン。1995年にスタートした「WOLF'S HEAD」はヴィンテージとオリジナルのスタッズアクセサリーを制作し、爆発的な人気を博す。WTAPSやワコマリア、コム・デ・ギャルソンとコラボするなど熱狂的なファンは数多い。

撮影協力:WOLF’S HEAD 東京都文京区千駄木3-36-2 TEL:03-5685-3215


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