“ネイティブトーキョースタイル”を提唱するアクセサリーブランド -「GOD SUNS」を形作る7つのキーワード-
メンズアクセサリーの王道であるネイティブ系ジュエリー。すでに体系化されているこのジャンルに新風を吹き込むのが、2017年に設立された〈GOD SUNS(ゴッドサンズ)〉だ。マニアのみならずファッション界とも密接にリンクするこのブランドの本質とは一体何なのか。それを少しでも探るべく、彫金師・MITSUHIRO YODA氏に影響を与えた“7つのキーワード”を聞いた。
音楽、映画、バイクを筆頭にした武骨なバックボーン
誕生から3年も経たないうちに、ネイティブジュエリーの価値観を更新し続けているゴッドサンズ。リング、ネックレス、バングルなど、いずれのアイテムにも美しさと豪胆さが共存し、すでに群雄割拠のアクセサリーシーンの中でも注目の存在となっている。
その最も大きな要因が、彫金師であるMITSUHIRO YODA氏による味わい深いクリエイションだ。彼の繊細な手作業から生み出されるジュエリーは、身に着ける者の心まで明るくするような輝きを備えたものばかりだ。
職人気質と芸術家気質を併せ持つMITSUHIRO氏のセンスこそ、ゴッドサンズには欠かせないもの。そんな彼の物作りの背景にあるのは何か。影響を受けてきた7つのキーワードを彼自身に上げてもらって、それぞれへの思いを聞いた。
1:音楽
「趣味がバイクなのでロックが好きなのですが、若い時にダンスをやってたので、ヒップホップも好きです。でも、一つ上げるとするならばステッペンウルフ。月並みですが『BORN TO BE WILD』です。バイクに興味を持ち始めた頃と同時期に聴いて、(この曲が使われた)映画『イージー・ライダー』も好きでした。自由を感じるんですよね。映画はラストが衝撃的だったけど、あんな風に何ヶ月もアメリカで気ままな一人旅をしてみたいです。他にアイテムを作る時のモチベーションになっているのは、ジミー・ヘンドリクスの『FIRE』や『PURPLE HAZE』やブラックサバスとか。プライベートで聴いていることが多いです」
2:映画
「『ロード・オブ・ドッグタウン』(*1)という映画があるんです。僕はジェイ・アダムスというスケーターが好きだったんですが、彼などをモデルにしたスケーターが主人公の映画で、凄く格好良いんです。その中で特に好きなシーンがあって、スキップ・イングロム役のヒース・レジャーが、タバコをくわえながらサーフボードをシェイプしているシーンがあるんです。ロッド・スチュワートの『MAGGIE MAY』という曲がかかるんですが、その光景が大好きで。シェイプってすごく汚れるんですが、それが自分の仕事に重なって惹かれるものがあったんです。ただただシェイプしているだけなんですけどね。彫金も同じように汚れるし、毎日毎日同じ作業をしている姿に親近感を覚えたんです。僕もスケートはやってたことがありますが、ランプで転んで三ヶ月くらい肩が動かなくなっちゃったので、禁止されちゃってます(笑)。他には海外ドラマ『サンズ・オブ・アナーキー』(*2)にも影響を受けました。それまではSRが好きだったんですが、ハーレーダビッドソンにも興味を持つきっかけになったんです」
*1=1970年代アメリカ西海岸のスケートカルチャーを牽引したグループ・Z-BOYSの実話をもとにした映画。
*2=北カリフォルニア郊外の街を仕切るバイカー軍団 「サンズオブアナーキー」と、敵対するギャングとの戦いを描いたアメリカのテレビシリーズ。
3:バイク
「バイクは20代中頃に興味を持ちました。今乗っているのは、ハーレーダビッドソンの2016年式の「FXDBC ストリートボブスペシャル」(1594cc)です。ゴッドサンズの設立年に合わせて、同年代のものにしたんです。ゴッドサンズは新しいブランドだし、新時代に出したブランドなので「新しいものを作っていく」というコンセプトを持っているんです。だから、バイクもそうしました。バイクは乗るのも触るのも自分にとって欠かせないですね。中型免許を取ったのは20代半ばくらいでちょっと遅くて、当時はヤマハSRに乗ってたんです。(ハーレーダビッドソンの)ショベルを買おうと思ってたんですが、漫画の『疾風伝説 特攻の拓』の天羽時貞が乗っていたんで、それに憧れて(笑)。バイクの要素をアクセサリーのデザインに反映させることはないですが、個人的にはバイクに付けるようなものとか、バイク自体をカスタムするようなものを作りたいですね」
4:ファッション
「時期によって変わってきましたが、ファッションはずっと好きですね。20代中盤の頃にダンスをやってたときは、ティンバーランドにダボパンに、ポロ(・ラルフローレン)の1992(ポロスタジアムコレクション*1992年に発表されて大きな人気を博した)とか、ウィングフットを着ていました。バイクを乗り始めてからはロックや裏原系ファッションを着るようになりましたね。年を取ってくるにつれてリーバイスやレザーなどシンプルな感じも好きです。今日のコーディネートはジャケットとパンツはリーバイスヴィンテージクロージングで、Tシャツはラッツ、バンダナはヘルズエンジェルス、シューズはリベンジストームです。バイクに乗る時はウェスコのエンジニアを履いています」
5:キャンプ
「最近はキャンプにはまってます。年末は年越しキャンプしに本栖湖の洪庵キャンプ場へ行きました。今年の夏は長野県の阿寺渓谷に行こうと思っています。レインボーストーブとか寝袋とか、ちょこちょこ道具を買い揃えていくのが今は楽しいです。テントはDODのカマボコテントKUE(クエ)を持っています。もともと北海道出身なので、小さい時にやっていたんですよ。東京に来てからは忘れてたんですが、30代に入ってからまた惹かれだしまして。星が好きなのですが、冬はよく見えるからいいですよね。やっぱりキャンプに行く一番の目的は、自然を感じたいから。美しい景色を見たい。そう言った景色とかを眺めているとアイディアが浮かんでくるんですよ。太陽のサンバーストを彫ったフェザーとか、実際に思いついて形になったこともあるんです」
6:レザー
「バイクに乗るのでブーツは欠かせません。リーバイスのヴィンテージブーツとか、ウエスコのエンジニアブーツとかを履いています。フリーマ―ケットに行くのも好きなので、軍モノのB-1とか、レザージャケットとかを手に入れたりすることもあります。今残っているジャケットは4着くらいで、あとはファインクリークレザーズで予約をしています。サンダーボルトの絵柄が入ったファインダースキーパーズとかも好きですね。最近、栃木レザーで良いものを見つけたので、実はこれからゴッドサンズでも革物を作っていこうと思っているんです。まずはベルトと財布。トラッカーウォレットとかですね。ただ、一番やりたいのはベスト。ゴッドサンズのコンチョとかイーグルを付けられるような、カスタムできるようなやつです。そういうのを作っている人は意外といないかなと思っていて。まぁ、最初は自分が欲しいから作るだけなんですけどね(笑)」
7:人
「尊敬する人は常にクリエイティブな人。自分の想像や技術から卓越した素晴らしい作品を生み出す事が出来る人。また独創的な発想を生み出す事が出来る人もカッコイイですね。ジャンルは問わずアクセサリー、バイク、音楽、服、映像、絵などのアートなど様々な分野で活躍する人達。自分は職人は素晴らしい職だと思います。シルバー界で尊敬する人はたくさんいますがあえてあげるならナバホの巨匠、ハワード・ネルソン。サンバーストを用いたデザインや発想、精巧な技巧が素晴らしいし、作品も格好良い。サンバーストの精巧なスタンプワークは圧巻です。バイク分野だと映画『イージー・ライダー』に出て来るハーレーダビッドソンのチョッパーを制作した黒人ビルダー、ベニー・ハーディーですかね。今ではチョッパースタイルも浸透して当たり前になってますが、当時だとかなりインパクトがあったし、独創的な発想の持ち主だったと思います。ゴッドサンズでもホイールの上にイーグルを乗せたアイテムとか、斬新で価値あるものを出していきたい。”ネイティブトーキョースタイル”というスローガンをつけているんですが、少しでも見たことがないようなものを生み出したいんです」
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GOD SUNS
ネイティブ系アクセサリーブランドで研鑽を積んだクリエイティブデザイナー・YASUYUKI YODAと、彫金師・MITSUHIRO YODAの双子を中心に2017年に設立。イーグルやフェザーといったネイティブモチーフを得意としながらも、性別や年齢、スタイルを問わずに楽しめる“新たなネイティブジュエリー”を追求している。従来のブランドにはないラグジュアリーさや、極小〜極大を取り入れた幅広いサイジングにも定評がある。
東京都渋谷区神宮前3-17-22 AT神宮前 1F
TEL:03-6447-5613
営業12:00~20:00*水曜定休
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