渡辺俊美コラボ活動第二弾は“ロックなGジャン”! TOSHIMI WATANABE×JOHNBULL
五十代を超えてますます円熟味を増す男・渡辺俊美。ファッションにも精通する彼が、昨年の「STETSON(ステットソン)」に続くコラボ第二弾を完成させた。今回のお相手はデニムの本場である岡山県に居を構える「JOHNBULL(ジョンブル)」。長年ジョンブルの代表を務めてきた北川敬博とともに、ミュージシャン目線で作られたデニムジャケットが完成した!
シャープなシルエットなのに着やすい快適な一着
TOKYO No.1 SOUL SETを筆頭に、現在はソロプロジェクト・ZOOT16でも活躍するミュージシャン・渡辺俊美。その活躍の幅は音楽だけにとどまらず、かつては原宿ラフォーレでショップを運営したり、オリジナルブランドを立ち上げたりと、ファッションへの考えや知見もプロ以上と言える男だ。
現在運営する自身のプロジェクト・ZOOT16のオンラインストアには、様々なブランドとのコラボレーションアイテムが告知なく突発的に登場することがあり、即完売するものが続出する盛況っぷりを見せている。その新たなラインナップに加わるのが、ジョンブルとタッグを組んだデニムジャケットだ。
一見3rdタイプのように両胸にポケットがあるオーソドックスなもの…と思いきや、ジップやポケットなど個性的なディテールが注入されていて、どことなくロックな雰囲気も特徴の一つ。それもそのはず、今回のテーマは“ミュージシャンが着るデニム”。タイトシルエットながらもストレッチ素材なので、ライブで着ても動きやすいのだという。ということで、タッグを組んだ渡辺俊美とジョンブル最高顧問・北川敬博に、ロック的Gジャン完成のいきさつを聞いた。
「ファッションというよりはミュージシャンに着てもらいたいかな」(渡辺)
RUDO 今回のコラボアイテムはどのようにして始まったのですか?
渡辺 そろそろ俺も原点に戻ってというわけじゃ無いけど、東京に来た時はGジャンとジーパンだったし、ふと「シンプルな格好に戻ろうかな」と思った時に北川さんの顔をハッと思い出したのがきっかけ。もともと7、8年前に、今回と似たようなデザインのものを別のところで作ったことがあったんです。その時は製品化できなくて、ずっと「やりたい」と思ってたんですよ。
RUDO お二人が知り合ったきっかけは?
北川 私はもともとファンで、ライブにも行ってましたし、周りに共通の知り合いがいて自然と繋がりましたよね。
渡辺 「BALANCE」の田主(智基*「ANACHRONORM(アナクロノーム)」などを展開)がブランドをやりたいと言った時に、一番最初に手伝ったのは僕なんですが、その師匠というか、ちょっと先輩になるのが北川さん。
北川 元々僕も音楽が好きでDJをやったりイベントをやったりしていたんですが、一世代の下の子たちが結構手伝ってくれてたんです。そのネクストジェネレーションの中にいた一人が、俊美さんがやっていたブランド「DOARAT(ドゥアラット)」のお店を岡山で始めたんです。ネクストジェネレーションなんて言っても、今はもう45歳くらいですけどね(笑)。そういう繋がりもありましたし、そのあたりにいた人たちに影響力があるのが俊美さんでした。
渡辺 でも、大体酒の席が多かったですよね、会うのは。
北川 そうですね。新宿にあったジョンブルのショップのクロージングパーティーをした時も、うちの社員が「俊美さんでライブをしてほしい」と言ったから、ライブをしてもらったりね。
渡辺 ステットソンとのコラボもそうだけど、毎年1点くらい何かを作っていきたいと思っているんです。そんな時に、ちょうど9月頃に岡山であったイベントで、北川さんと話したのかな。
北川 そうですね。
渡辺 イベントから帰ってきた後に、やっぱり岡山の人と何かを作りたいと思ったんですよ。それに、北川さんはちょうど会長的な立場になったって言ってたな、って思い出して。
北川 暇になったってね(笑)。
渡辺 そうですね(笑)。まぁ、僕も相談役っぽいことはやってたことがあるので、同じ立場になって、一緒に作りませんかって相談したんですよ。
北川 お話をいただいたとき非常に光栄でした。僕は今は第一線から離れていますが、売り上げにとらわれず仕事ができるのは非常に楽しい。もちろんスタッフの力は借りながらですが、ジョンブルにはコラボの担当というのが現状は無いので、じゃあ自由にやらせてもらおうと。でも、社員同士で企画して自社内で完結するよりも、割と緊張感がありました。結構作るのが難しかったんですよ。技術的にも難しい箇所がありましたし、工賃とかをどうするかとかありましたが、良いものができたと思います。
渡辺 本当にそうですね。
北川 素材もストレッチを使っているんですよ。動きやすさとか機能性もコンセプトの部分にあったので、その方が良いだろうと。昔だとストレッチって柔らかくて、メンズの素材じゃなくて。
渡辺 ですね。硬派では無いですよね。
北川 でも今はいいのが出てきたんです。色落ちさせることもできるし、そういうのが新しい。
渡辺 元々、Gジャンってワークウェアだし、オーバーサイズで着ないでジャストか少し小さめを着るのがオシャレだと思う。でも、そうなるとどうしても肩とか腕が詰まっちゃって動きづらい。だから、ストレッチ素材もそうですが、背中〜腕の裏側にゴムをつけて、動きやすくしたりもしています。それこそ、ファッションというよりはミュージシャンに着てもらいたいかな。そういう意味でも、アパレルの中でもメーカーであるジョンブルと、ミュージシャンの僕とだからこその本当のコラボレーションになったと思います。
「“どアメリカ”じゃない感じもありますよね」(北川)
RUDO 今回のモデルは7、8年前に作成した俊美さんのサンプルがベースだと思いますが、デザイン的にこだわった部分はありますか?
北川 このジャケットの形は元々あったものじゃなくて、俊美さんの意図を組みながら作ったので新しい形なんです。
渡辺 ライダースっぽい感じだけど、ヤカラ感がない感じ。ワイルドな感じを減らしたんです。女性にも着てもらいたいんですよ。ロングスカートに合わせたりしても可愛いと思う。男性向けだけだったら、そもそもストレッチ素材にしなくても良かったですしね。
RUDO 結構タイトにできてますよね。
北川 そうですね。
渡辺 ボックスシルエットというわけではないです。
北川 ただ、レディースもそうですが、メンズももうストレッチ素材が主流なんです。着やすさを求めている流れがあるというか。そんなトレンドにもマッチしていると思います。RUDO シャツっぽくもありますよね。
渡辺 これは三月中くらいに発売する予定だから、夏でも着られるようにも考えてます。ヴィンテージを掘り返して作ったアイテムではないから、他のブランドは似たようなものを作らないと思っています。でも、素材は今のニーズにあったものだからね。田島(貴男*オリジナルラブ)君とかに着てもらいたいな。彼はバイクに乗るので。ウエノ(コウジ*the HIATUSなど)君とかね。
北川 50、60代の大人の人にもいいですよね。俊美さんがやってるバンドのZOOT16って、“ずっと16歳”っていう意味もあるんですよね?
渡辺 そうそう(笑)。
北川 それを知った時に、「あ、俺もそれで生きてる」と思ったんですよ。
渡辺 カウンターアクションというかね。やっぱり、その16歳の頃って一番エネルギーがあるというか、いろいろ吸収するし、自分の意思が出てくる。自分の息子を見ててもそう思いましたもん。だから俺はその頃の気持ちを大切に、自信を持ってやりたいなと思ったのが由来。そこに今は肉付けしていく感じですね。
北川 それに感銘を受けたので、ずっと16歳の気持ちを持った60歳にも着てもらいたいです。僕もそうでありたいですね。(笑)。
渡辺 Gジャンってアクセントだと思うんです。アウターにするだけじゃなくて、これにコートを着たりして、年間を通して着られると思う。
北川 作る時にポール・ウェラーの話で盛り上がったんですが、“どアメリカ”じゃない感じもありますよね。
渡辺 ヨーロッパ的なステッチというか、アメリカっぽくない部分がね。アメリカにも当然良さがあるけど、ヨーロッパ的な雰囲気はイメージしました。
RUDO 俊美さんならどうやって着こなしますか?
渡辺 そろそろ、ホワイトジーンズが流行っても良いかなと思ってるんだけどね。それをロールアップして合わせるのも良いんじゃないかな。ファッションって普通の着方ができてからアレンジするのが普通なんだけど、今ってみんなアレンジから入ってる気がするんです。オーバーサイズの物から始めるとか。でも、まずは定番のコーディネートというか、ジャストなサイジングを着るのが改めて見直されて良いと思う。ワークパンツと合わせたりね。だからまずは定番を味わって、パンツを太くするのはそこからかな。女の子はこれにポニーテールとか。往年だけど(笑)、女性らしい。缶バッジつけたりブローチつけたり。アレンジみたいのはそう表現するのが良いんじゃないかな。あとややっぱりGジャンって新品から着込んでいくのがベストだと思うし、自分の味を出して行ってほしい。それを着たまま風呂入ってね(笑)。
RUDO 第二弾も考えているということですが?
北川 別にデニムのものじゃなくても良いと思ってるんですよ。ブレザーとか、そういうアプローチもいいですよね。ジョンブルのファミリーで大阪農林会館にある「オッドナンバーズ」では、テーラー専門の取り扱いもあるので、“本当のテーラード”を作るのも良いですよね。
渡辺 アイビーとか崩したりね。そういう感覚は良いですよね。「VAN(ヴァン)」みたいなものを、逆にオマージュしたり。
北川 音楽背景があるものが僕らは好き。モッズの文化とか。今回のコラボもそうなっているし、それはあって良いんじゃないですか?
渡辺 そうですね。自分たちのライフスタイルにも近いですよね。北川さんとなら新しい何かを提案できそうだし、海外にもアピールできるものになるんじゃないかな。
北川 そういうのはワクワクしますよね。
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TOSHIMI WATANABE × JOHNBULL
デニムジャケット(2020年3月2日発売)
¥28,000
ZOOT 16公式オンラインストア
shop.zoot16.com
ジョンブル
johnbull.co.jp
*ジョンブルでの発売はありません。
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photo:TSUTOMU YABUUCHI(TAKIBI)
渡辺俊美/TOSHIMI WATANABE(TOKYO No.1 SOUL SET、ZOOT16、猪苗代湖ズ)
1966年12月6日・福島県出身
1990年に「TOKYO No.1 SOUL SET」を結成。福島県出身ミュージシャンなどと結成した「猪苗代湖ズ」でも活躍。2018年から自主レーベル「16STUDIO 」を立ち上げる。ソロプロジェクト「ZOOT16」の公式サイトでは、オリジナルTシャツなどのグッズを不定期で発表。渡辺俊美&THE ZOOT16名義のアルバム『NOW WAVE』が絶賛発売中。